傷病―診察・入院・手術・通院―克服記(2)閉塞性動脈硬化症


30歳の春、約10年前の交通事故による左大腿部打撲

痕の後遺症ではとの疑いに、加えて喫煙と高コレステロ

ール値とが相まって、左足第3指先に痛みを伴うチアノ

ーゼ(紫色)現象が現れてきました。



結婚を数日後に控えた時期に、知り合いの皮膚科医院を

訪ねて応急処置を受けました。



その皮膚科医院へはその後、2年間に渡り通院をしまし

たが、治療効果ははかばかしく無く、治療にいぶかしさ

を感じ始めていた頃でした。



そんなある日、皮膚科医院へ出入りの製薬会社営業社員

が医師への問いかけに「血管撮影は行ったのですか」を

耳にし、不安がよぎり32歳の春に大学病院一般外科外

来で診察の結果、閉塞性動脈硬化症と診断されました。



閉塞性動脈硬化症を調べてみたところ、足の血管の動脈

が詰まる疾患で、手足の冷え・足の痛み・潰瘍などの動

脈硬化は、全身性かつ進行性の疾患で、虚血性心疾患・

脳血管障害を起こす確率が高いと云われています。



閉塞性動脈硬化症の臨床病期は、下記の通りです。

Ⅰ度ー無症状または足のしびれ・足の冷感。

Ⅱ度ー少しの歩きで足が痛む・少し休むと治る。

Ⅲ度ーじっとしていても足が痛む・夜間就寝中などに強

   く痛む。

Ⅳ度ー足の皮膚がただれ(潰瘍)たり・壊死(エソ)したり

   する。



肥満・高血圧・高血糖・高脂血症などの危険因子が複数

ある状態(メタボックシンドローム)は動脈硬化になりや

すくなります。



治療には、軽傷患向けの薬物治療と運動療法による経過

観察になります。



重症患者には病変箇所の動脈内にカテーテルを入れバル

ーン(風船)を広げて血行の回復や、さらにステント(金

属網の筒)を入れる血管内治療と、閉塞血管の迂回路を

くるバイパス手術があります。



病院の空きベット待ちの数日間左足第3指先の激しい疼

痛に耐えて入院待ちしました。



入院早々いろいろ検査ずくめの日々が続いた結果、左足

第3指第1間接以下エソ(壊死)と診断され、第1間接以

下の切除をしました。それでも治癒しませんでした。



それからは点滴治療や動脈注射が行われましたが、症状

ははかばかしくなく激しい疼痛に悩まされ、就寝前には

鎮痛薬や睡眠薬の腹用が欠かせず、それでも睡眠不足に

陥りました。



その対処治療に、足の血行を促進するため腰部両側の交

感神経節切除手術が行われました。



しかし、疼痛を完全に取り去ることが出来なかったこと

から、つま先の痛みを麻痺させる神経節切除手術を両足

首に施しました。



そこでようやく疼痛は治まりました。その間180日が

ついやされ退院日には、足腰の衰えからベットを離れる

際はふらつくありさまでした。



妻には3日置きに着替えを届けに、乳飲み子を抱えての

通院に、心底感謝しました。



治療に当られた医療スタッフの方々にも、心から感謝し

ました。



人間は1人では生きていけないことを、つくづく思ひ知

らされました。



退院後、経過観察と投薬を受けに、定期的に通院してお

りました。



34歳の夏に左足親指爪下と第2指先端部に潰瘍が発症

し、疼痛が起きるようになってきたことで、大学病院へ

再入院することになりました。



医師からはタバコの喫煙を戒められていたのですが、決

算期のデスクワークの残業続きで、睡魔を振り払うため

に、仕事優先のあまりほんの1服のつもりが、病みつき

になり、禁煙の戒めを破ったことが最大の原因かと、後

悔してもやってしまったことは取り返しがつきません。



今回の入院で、検査を経て左足親指爪下潰瘍の治療と、

第2指先端エソ部の切除をしました。



その後も難治性潰瘍は残っていましが、治癒傾向を示し

ていたことから、入院22日間で退院になりました。

退院後は自宅治療を、不安の中行っていたのでした。



再入院早々検査を経て、左足第2指第2間接以下を切断

することになりました。



足親指爪下潰瘍は爪をはがして処置し、新しい爪が生え

てくるのを待つばかりで、左足第2指切断痕の治癒はは

かばかしくありませんでした。



肉芽がほぼ上皮化し、入院43日で退院しました。

医療スタッフの方々には心から感謝いたしました。



治療結果は、左足親指爪発育不十分・左足第2指第2間

接以下切断・左足第3指第1間接以下切断の状態です。

現在の動脈閉塞割合は右足約1割・左足約5割です。



国が難病指定した約300疾病の内に、バージャー病(閉

塞性動脈硬症)が認定されております。



難病認定を受けますと医療費の自己負担割合が3割から

2割に軽減されます。



東京都でも難病医療費負担上限月額(所得階層区別)を超

える部分の医療費を助成する制度を設けております。



難病疾病患者には、計り知れない程の助けになります。



日本人誰しもが病気やケガをすれば、高度な治療が受け

られ、医療費負担は医療保険制度が適用され、比較的安

価に済みます。



日本の病院では患者に対して、きめ細やかな治療と看護

が行われております。患者にとっては、現行医療制度は

十分にありがたい制度であります。



閉塞性動脈硬化症の治療では、3度に渡り245日間の

入院・手術を経て、退院後は定期的に通院加療を続けて

おりました。



国が難病指定するバージャー病(閉塞性動脈硬化症)には

血流を改善する投薬や・人工血管をつなぐバイパス手術

などの治療が行われて来ましたが、薬の効果は小さく・

手術で治る人も少なく、悪化して手足の切断に至ること

も有るようです。



そこで注目されているのが再生医療を応用した、細胞の

元になる幹細胞を使い組織や臓器を復元させる治療方法

です。



骨盤や血液中に含まれる患者自身の細胞を利用して新し

い血管を作る血管新生治療が開発されました。

この分野では日本が世界をリードしています。



大学病院では患者自身の血液を採取し、わずかに含まれ

る単核球細胞を取り出し化学処置を施し、単核球細胞を

増やし、患者に輸血する方法で行われておりました。



全身麻酔をかけ腰椎に針を刺し、骨髄液を採取して遠心

分離器にかけ、前駆細胞を集める方法もあります。



高度な技術と設備が必要で、実施しているのは一部の大

学病院などにとどまっております。



末梢血を採取し単核球細胞を集め移植する方法は、骨髄

液採取方法に比べ、患者の負担が少ないのが利点です。



この末梢血採取方法は、一部の病院で試験的に行われ、

治療対象は抹消動脈閉塞症と虚血性心疾患だけで、まだ

研究段階であり保険適応は認められておりません。



大学病院では単核球採取処置例を1,000回程度実績が
ありました。



この治療を受ける申請したところ、許可され平成20年

2月11日に一般外科への入院が決まりました



入院翌日には、輸血・細胞療法部に移され血液成分分離

装置にかけられ、血液採取が行われました。



血液成分分離装置は成分献血に用いられる装置で、両手

に点滴針を刺し装置と接続し、血液を装置に取り込んで

単核球成分だけを大量に分離採取し、残りの血液を再び

体に戻す処置を約2時間続けて行われました。



翌日には手術室に移され、採取した単核球細胞の濃縮し

たものを注射器でふくらはぎに輸血されました。



この治療によって、次の研究をされているのです。

①血管内皮前駆細胞を作る働き。

②血管内皮前駆細胞の変化。

③血管新生に関わる変化。





研究用に治療に用いた血液と治療前後の血液サンプルを

採取されました。



2月13日には退院しました。

大学病院側が100万円相当負担し、患者側の治療費は

無料で、入院費用が医療保険適応して約2万円でした。



その後は、経過観察のバージャー病と併せて年1回通院

していおります。



世界的に高い水準にある日本の医療環境にあって、この

世に生を受け命はてるまで生きて行くには、前進するの

みの途中で身体をそこねて、身にしみて気付いたことは

健康の有り難さでした。


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