(3)下肢閉塞性動脈硬化症(バージャー病)Ⅱ

34歳の夏に左足親指爪下と第2指先端部に潰瘍が再発し、疼痛が起きる
ようになってきたことで、大学病院に再入院することになりました。

医師からはタバコの喫煙を戒められていたのですが決算期のデスクワーク
の残業続きで睡魔を振り払うために、仕事優先のあまりほんの1服のつも
りが病
みつきになり禁煙の戒めを破ったことが最大の原因かと、後悔して
も取り返しがつきませんでした。

今回の入院で、検査を経て左足親指爪下潰瘍の治療と、第2指先端エソ部
の切除をしました。

その後も難治性潰瘍は残っていましが治癒傾向を示したことから入院22
日間で退院になりました。退院後は不安を抱え自宅治療を行っておりまし
た。

自宅治療では左足親指爪下と第2指先端部の潰瘍は治癒の傾向が伺えず、
疼痛も再発するようになってきたことで再々入院することになりました。

再々入院早々検査を経て、左足第2指第2間接以下を切断することになり
ました。

足親指爪下潰瘍は爪をはがして処置し、新しい爪が生えてくるのを待つば
かりで、左足第2指切断痕の治癒は遅々として進みませんでした。

肉芽がほぼ上皮化し、入院43日で退院しました。
医療スタッフの方々には心から感謝いたしました。

治療結果は左足親指爪発育不十分・左足第2指第2間接以下切断・左足第
3指第1間接以下切断です。
現在動脈閉塞割合は右足25%・左足42%です。

国が難病指定した約300疾病の内に、バージャー病(閉塞性動脈硬症)
が認定されております。

難病認定を受けますと医療費の自己負担割合が3割から2割に軽減され、
東京都でも難病医療費負担上限月額(所得階層区別)を超える部分の医療費
を助成する制度を設けており難病疾病患者には計り知れない程に助けとな
ります。

日本人誰もが病気やケガをすれば高度な治療が受けられ、医療費負担は医
療保険制度が適用され比較的安価に済みます。
日本の病院では患者に対して、きめ細やかな治療と看護が行われているこ
とを実感致しました。
患者にとっては、現行医療制度は十分にありがたい制度であります。

閉塞性動脈硬化症の治療では、3度に渡り245日間の入院・手術を経て
退院後は3ヶ月毎に通院加療を続けておりました。

国が難病指定するバージャー病(閉塞性動脈硬化症)は血流を改善する投
薬や・人工血管をつなぐバイパス手術などの治療が行われて来ましたが、
薬の効
果は小さく・手術で治る人も少なく、悪化して手足の切断に至るこ
とも有るようです。

そこで注目されているのが再生医療を応用した、細胞の元になる幹細胞を
使い組織や臓器を復元させる治療方法です。

骨盤や血液中に含まれる患者自身の細胞を利用して新しい血管を作る血管
新生治療が開発されました。
この分野では日本が世界をリードしております。

大学病院では患者自身の血液を採取し、わずかに含まれる単核球細胞を取
り出し化学処置を施し、単核球細胞を増やし、患者に輸血する方法で行わ
れてお
りました。

全身麻酔をかけ腰椎に針を刺し骨髄液を採取して遠心分離器にかけ前駆細
胞を集める方法もあります。
末梢血を採取し単核球細胞を集め移植する方法は骨髄液採取方法に比べ、
患者の負担が少ないのが利点です。

この末梢血採取方法は一部の病院で試験的に行われ治療対象は抹消動脈閉
塞症と虚血性心疾患だけで未だ研究段階であり保険適応は認められていま
せん。
大学病院では単核球採取処置例を1,000回程度実績がありました。

この治療を受ける申請をしたところ許可され、平成20年2月11日に一
般外科病棟への入院が決まりました。

入院翌日には、輸血・細胞療法部に移され血液成分分離装置にかけられ、
血液採取が行われました。

血液成分分離装置は成分献血に用いられる装置で、両手に点滴針を刺し装
置と接続し、血液を装置に取り込んで単核球成分だけを大量に分離採取し、
残り
の血液を再び体に戻す処置を約2時間続けて行われました。

翌日には手術室に移され、採取した単核球細胞の濃縮したものを注射器で
足のふくらはぎに輸血されました。

大学病院はこの治療によって、
①血管内皮前駆細胞を作る働き。
②血管内皮前駆細胞の変化。
③血管新生に関わる変化。
を研究されております。

その研究用に治療に用いた血液と、治療前後の血液サンプルを採取されま
した。

2月13日には退院致しました。
大学病院は100万円相当の経費を負担し、患者の負担は入院費用が医療
保険を適応し約2万円でした。

その後は経過観察のバージャー病と併せ年1回の診察と3ヶ月毎の投薬を
受けに通院していおります。


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カテゴリー: 日記